早くも東京リージョンのAuroraにGraviton4(r8g)が提供開始!Graviton各世代と性能比較した結果

メディア統括本部 サービスリライアビリティグループ(SRG)の鬼海雄太(@fat47)です。
#SRG(Service Reliability Group)は、主に弊社メディアサービスのインフラ周りを横断的にサポートしており、既存サービスの改善や新規立ち上げ、OSS貢献などを行っているグループです。
本記事は、AWSのAuroraにてGraviton4(r8g)が東京リージョンで利用可能になったことや、性能の比較検証の結果をまとめています。
なにかの役に立てば幸いです。
 

まさかの東京リージョンでGraviton4(r8g)が爆速リリース


AuroraのGraviton4(r8g)対応は2024年11月にリリースされていました この時点では米国東部 (バージニア北部、オハイオ)、米国西部 (オレゴン)など一部のリージョンに限られて提供開始されていました。
 
Graviton3(r7g)のときは、東京リージョンに来るまでに1年以上時間がかかったので油断していたのですが、2025年3月14日にGraviton4が東京リージョンでリリースされました。
 
たった4ヶ月で東京リージョンに来るとは..嬉しいですね!
 

前世代(r7g)や前々世代(r6g)との性能差は?


リリースの記事から引用します。
Amazon Aurora データベースの同等サイズの Graviton3 ベースのインスタンスと比較して、オンデマンド料金で最大 40% のパフォーマンス向上と最大 29% の価格/パフォーマンス向上を実現します
r7g → r8gで最大40%の性能向上があるようです。
 
ちなみに、r7gのときのリリース記事では以下のようにかかれていました。
Amazon Aurora の Graviton2 インスタンスと比較して、パフォーマンスを最大 30% 向上させ、料金/パフォーマンスを最大 20% 向上させます。
r6g → r7gで最大30%の性能向上があると言っていました。
 
つまり…
Graviton2(r6g)からGraviton4(r8g)に変えたら最大性能向上は82%ある..ということでしょうか?
これは検証しないと…!

料金について


同じr6g.large ~ r8g.largeの同サイズ同士でオンデマンドのスタンダード料金を比較してみます。
インスタンスタイプ時間あたり料金(オンデマンド)前世代との料金差
db.r6g.largeUSD 0.3130%
db.r7g.largeUSD 0.333+6.39%
db.r8g.largeUSD 0.333+0%
なんとGraviton3(r7g)とGraviton4(r8g)は同額でした。他のサイズでも比較しましたがほぼ同額でした。
 
なお、Graviton4(r8g)のリザーブドインスタンスはアメリカでもまだ提供されていないようです。

sysbenchによる性能比較


前回Graviton3(r7g)がリリースされたときと同じく、sysbenchをつかってパフォーマンスを確認します。
sysbenchの導入やコマンドなどはこちらの記事をご参照ください。
 
r8gが作成できるのはAurora MySQL v3.08以上でしたので、今回はすべてのインスタンスタイプでエンジンバージョンv3.08.1に統一して、パフォーマンスチェックの値を取り直しています。
エンジンバージョンv3.08.1(MySQL 8.0.39互換)
負荷をかける環境c7a.xlarge(同一AZ)
それぞれのインスタンスに3回ずつ実行しました。Auroraはキャッシュクリアが難しいのでそこは考慮しておりません。
3回の平均値を以下にまとめます。
readwriteothertotaltransactionsqueries
r6g273,01478,19439,097390,97319,548 (325per sec)390,973 (6514per sec)
r7g326,77893,84146,587465,873 23,294 (388per sec)465,873 (7763per sec)
r8g351,008100,28850,144501,44025,072 (417per sec)501,440 (8356per sec)
transanctionsの性能比をまとめると以下の結果になりました。
r6gとの性能差前世代との性能差
r6g--
r7g+ 19.16%+ 19.16%
r8g+ 28.26%+ 7.63%
おや….?なんか期待と違うな…??
 
以前のブログ記事で検証した時は、r6gからr7gにしたら34%程度性能が向上したという結果でした。
以前はエンジンバージョンv3.04(MySQL8.0.28互換)を使っていましたので、
一応v3.04.3で別のクラスタを作成して、再度r6gとr7gのスコアを取り直してみます。
こちらも3回計測して平均値を記録しました。
readwriteothertotaltransactionsqueries
r6g(v3.04.3)235,45667,27333,636336,36616,818 (280per sec)336,366 (5605per sec)
r7g(v3.04.3)284,62481,32140,660406,60620,330 (338per sec)406,606 (6775per sec)
r6gとの差 (v3.04.3)+ 20.88%+ 20.88%+ 20.88%+ 20.88%+ 20.88%+ 20.88%
なぜか20%程度の向上になっていますね。どうしてでしょうか…。

終わりに


Graviton4(r8g)が東京リージョンでも使えるようになりました。
たしかに性能向上はしていることに加え、前世代から価格は据え置きなのでとても良さそうです。
一方でリザーブドインスタンスがまだ提供されていないので、Graviton2(r6g)を購入している方は比較検討する必要がありそうです。
また、LTSであるv3.04ではGraviton4が使えないのでそこも考慮しておく必要がありそうです。
 
今回の速報で記事を書いていますが、検証結果がいまいちしっくり来ていないので、
ぜひみなさんも性能比較検証してみて結果を教えていただけると嬉しいです。
 
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