Amazon S3 Vectorsがプレビューリリース!S3でベクトル検索を試してみた
メディア統括本部 サービスリライアビリティグループ(SRG)の鬼海 雄太(@fat47)です。
#SRG(Service Reliability Group)は、主に弊社メディアサービスのインフラ周りを横断的にサポートしており、既存サービスの改善や新規立ち上げ、OSS貢献などを行っているグループです。
本記事は、プレビューリリースされたS3 ベクトルストアの機能を試してみた検証記事です。
Amazon S3 VectorsとはAmazon S3 Vectorsを試してみたベクトルバケットの作成ベクトルインデックスの作成ベクトルデータの挿入ベクトルデータへのクエリGAリリースが楽しみな機能でした!
Amazon S3 Vectorsとは
2025/7/16(日本時間)に発表されたS3の新機能プレビューリリースです。
S3をベースにベクトルストアとして利用できる機能で、低コストなベクトルストアとして期待できる機能となっています。
現在のプレビューリリースでは日本リージョンは対応しておらず、USリージョンやシドニーリージョンなど一部リージョンのみ提供されています。
詳しくは上記のリリースブログや公式ドキュメントをご参照ください。
Amazon S3 Vectorsを試してみた
早速、S3 Vectorsをつかってみましょう。
ベクトルストアにmarkdownファイルを埋め込んで検索してみます。
現在プレビューリリースのため、コンソール上からはベクトルバケットの作成やベクトルインデックスの作成はできますが、ベクトルインデックスの削除や、ベクトルデータの追加削除などの操作はおこなえません。
AWS CLIやSDK経由で操作が必要となります。
ベクトルバケットの作成
S3のメニューに「ベクトルバケット」が出現しています。ここから「ベクトルバケットの作成」を選択します。

一意のベクトルバケット名を指定して作成します。

ベクトルインデックスの作成
作成したベクトルバケットを開いたら、「ベクトルインデックスを作成」を選択します。

ベクトルインデックスに必要な情報を入力していきます。

- ベクトルインデックス名:バケット内で一意のインデックス名
- ディメンション: 1024
- これは使用する埋め込みモデルによって異なります。今回は、を利用するため、 が対応しています。
- 距離メトリック
- コサイン、ユークリッドを選択可能。今回はコサインを指定
- 追加設定 フィルタリングできないメタデータ
- キーに を指定します
- metadataには2048byteの制限があります。長い本文データを扱う場合、このオプションを入れてnon-filterableとしてあげる必要があります
- https://github.com/awslabs/s3vectors-embed-cli?tab=readme-ov-file#s3vectors-embed-src-content
以上を入力したら、ベクトルインデックスを作成を選択します。
ベクトルデータの挿入
現在、コンソール上からは行えません。
今回はAWS公式のs3vectors-embed-cli を使用します。
先にBedrockの利用可能モデルから、を有効化してください。
導入方法の詳細は上記ドキュメントを参照ください。
基本的にはこれだけで利用可能です。
作成したベクトルバケットにデータをPUTします。
大きいMarkdownファイルは複数のファイルに事前に分割する必要があります。
埋め込みモデルにamazon.titan-embed-text-v2:0を使用している場合は1ファイル8192tokenが上限です。
ファイル分割サンプル
./knowledge/hoge.md のファイルを ごとにchunkファイルとして分割するワンライナーです。
上記PUTコマンドではここで生成したchunkファイルディレクトリ内すべてを送信させています。
ベクトルデータへのクエリ
登録したベクトルデータへクエリ実行してみます。
は返される件数(デフォルト5)
は類似距離を表示します
結果例
distanceが近い順に結果が帰ってきました。
GAリリースが楽しみな機能でした!
以上でベクトル検索までできました!
気になる料金ですが、まだ日本リージョンでの価格は出ていませんので、バージニア北部リージョンのS3 Vectors料金表を紹介します。
この表の通り、データ保存サイズやクエリ、リクエストによる課金のみですので、他のベクトルストアのように起動時間に対して料金が発生するということがありません。
気軽にRAGをはじめてみるには最適なソリューションになるのではないでしょうか。
まだプレビューリリースですので、コンソール上の機能が足りていない部分も多いですが、GAリリースまでが非常に楽しみな機能でした!
SRGにご興味ありましたらぜひこちらからご連絡ください。