Cloud SQL Enterprise Plusとはなにものだ

技術本部 サービスリライアビリティグループ(SRG)の鬼海(@fat47)です。
#SRG(Service Reliability Group)は、主に弊社メディアサービスのインフラ周りを横断的にサポートしており、既存サービスの改善や新規立ち上げ、OSS貢献などを行っているグループです。
本記事は、Google Cloud Platformが発表したCloudSQL Enterprise Plusで追加された新機能について解説しています。
 

CloudSQL Enteriprise Plusとは


2023年7月にGAリリースとなったCloudSQLのエディションです。
既存のCloudSQLは「CloudSQL Enteriprise」となり、
従来のCloudSQLから追加で機能拡張された「CloudSQL Enteriprise Plus」が発表されました。
対応しているDatabaseはMySQL 8.0、PostgreSQL 14, 15となります。
 
今回の記事ではMySQLの場合にしぼって内容をご紹介します。
 

Enteriprise Plusでの追加機能


可用性向上

99.99%のSLA
ちなみに旧CloudSQLは99.95%となります。

性能向上

書き込みレイテンシが最大2倍
読み込みスループットが最大3倍向上
オプションでデータキャッシュという新機能を利用することができます。
マシンタイプに応じた容量固定のSSDが付与され、バッファプールの拡張領域として利用できるようになります。
データキャッシュを有効にすると、
  • 読み取り:メインメモリ→データキャッシュ→インスタンスのストレージの順に読み取る
  • 書き込み:インスタンスのストレージにコミットと同時に、データキャッシュに書き込み
という動作になります。

メンテナンスの向上

計画メンテナンス中、バックグラウンドでローリングアップデートを行い、ダウンタイムを10秒未満に。
旧CloudSQLでは60秒未満となっています。

データ保護機能向上

PITR用のログ保存期間が最大35日に拡張
※MySQLはまだ未実装で対応予定となっています。
 

Enteriprise Plusの料金


旧CloudSQLからざっくり30%増しぐらいのイメージです。
詳細は下記参考URLのPricingから確認ください。
CloudSQL Pricing より引用
CloudSQL Pricing より引用
 

データキャッシュの補足事項


ばっちりハマる用途としてはデータセットが通常のバッファプールに収まりきらないサイズの巨大な場合です。
また、対象のインスタンスのvCPUが16以上の場合性能向上が大きいとされています。
 
データキャッシュがいっぱいになるとアクセスが少ないデータから追い出されます。
ユーザかシステムによってインスタンスが再起動された場合でもデータキャッシュは消えることはありません。
ただしフェイルオーバーオペレーションなどでプライマリインスタンスのシャットダウンが起きるとデータキャッシュは消えるので、データキャッシュにのるまでパフォーマンスは低下する可能性があります。
データキャッシュにはREDOログやバイナリログは保存されていません。
 

CloudSQL Enteriprise Plusの始め方


CloudSQL作成時にPlusを選択するだけです。
既存のCloudSQLをPlusに移行できるような機能は現時点ではありません。
既存環境からの移行にはDatabase Migration Serviceなどを利用してデータを移行する必要があります。
将来的にはインプレースで移行できる機能を実装予定みたいなので期待しています。
 

終わりに


CloudSQL Enteriprise Plusの追加された機能によって、より便利にマネージドDBが利用できる状態になったと思います。
個人的には性能向上と、メンテナンスの向上によるダウンタイムの短縮がとても気に入りました。
 
費用面では少し増額となりますが、性能向上によってインスタンスサイズの縮小や台数の削減などによって、費用をカバーできる可能性もあるかなと思います。
今後の進化にも期待を感じさせるアップデートだなと感じているので今後も楽しみです。
 
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